国際税務の基本ルール①
アップル、マイクロソフト、スターバックスなどアメリカのメガ企業がグローバル節税スキームで実効税率が数%でしかないということが周知の事実となりグローバルな問題として取り上げられていますが、これらグローバル節税スキームがどのようなものかを理解するためにも、国際税務の基本を知ることが重要かと思います。
「国際税務」という言葉をよく耳にしますが、「国際租税法」などという法律はありません。国際取引を行った場合には、日本の税法とその国との租税条約も検討しなければなりません。国によって租税条約の内容も一律ではありません。
日本の国内法では居住者の収益に課税するときには全世界の所得に課税し、非居住者・外国法人に対しては日本国内に源泉を持つ所得に対して課税します。
このように説明すると簡単なようですが、この居住地国と源泉地国が何処かという基準が違うことで例えば源泉地の競合や空白が生じたりします。また、2つの国、X国とY国があったとした場合、x国の居住者がY国に源泉のある所得を得たとした場合、
x国にとっては国外所得であっても全世界課税の原則からY国の源泉所得を課税の対象とし、一方Y国は所得源泉地国としてこの所得を課税対象とするので2国間で課税が重複することになります。このような場合にX国は国内法や租税条約によって国際的二重課税を解消することが一般的であります。居住地国が国際的な二重課税を排除する方法として日本国内法では外国税額控除という制度が規定されています。これは居住者の全世界所得を居住国における課税対象としたうえで、源泉地国で課税された税額を控除する方式であります。これは日本以外にも米国が採用している方式ですが、
もう一つの方式として国外所得免除というものがありますが、これは居住地国が国外源泉所得を課税の対象からはずす方式であり、オランダやフランスなどが採用しています。いずれのやり方も居住地が一方的に課税を控えることで国際的二重課税を排除することになります。