不動産所得はだれのもの

 生計を別にするご家族の土地を無償で借りて、駐車場の経営をしている場合など、意外と多いようです。「駐車場代は自分が受け取っているよ。」とおっしゃる方、ご自分と土地所有者のご家族のどちらの所得として申告するべきかを確認する必要がありますので、下記をご覧ください。

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目次
【1】 不動産所得の帰属者は?

 ◇資産から生じる収益か事業から生じる収益か
 ◇贈与を受けたとみなされる場合

【2】不動産所得と事業所得の区分

  ◇事業所得または雑所得になる場合
  ◇不動産所得と事業所得の区分

【3】実質所得者課税の原則<参考>
  ◇実質所得者課税の原則(所得税法)

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【1】 不動産所得の帰属者は?

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事例として、息子が、生計を別にする父の土地を無償で借りて、今年の5月からアスファルト敷きの月極青空駐車場の経営を始めた場合に、「私の責任で駐車場の管理・運営を行っており駐車場代も私が受け取っています。この不動産収入については私の不動産所得として申告をしてよいのでしょうか。」という相談があった場合、親子のどちらの収入にすべきでしょうか。

結論としましては、不動産の貸付けによる収入は、原則として不動産の所有者であるお父さんに帰属するものとされるので、この場合は息子の不動産所得として申告することはできません。

◇資産から生じる収益か事業から生じる収益か

駐車場から生じる不動産所得はお父さんに帰属するものと考えられます。
収益の実質的な権利が誰にあるかを判定するには、収益を資産から生じるものと事業から生じるものとにわけて考えます。

この事例の場合には、まず駐車場の所得が不動産所得または事業所得(または雑所得)のどちらに該当するかを確認しておく必要があります。また、資産から生じる収益を受取る人が誰であるかは、その収益を生むもととなる資産の真実の権利者が誰であるかによって判定されます。
以上のことから、駐車場を運営してその収益を受けていても、その駐車場の真実の所有者がお父さんであるため、それによる不動産所得はお父さんに帰属するものと考えられます。したがって、あなたの所得として申告することはできないことになります。

◇贈与を受けたとみなされる場合

受取っている金額のうち運営業務にかかる費用およびあなたが設置した構築物の使用の対価を超えるものや、お父さんの所得となるべき利益をあなたが受取っていたりする場合には、お父さんに贈与を受けたとみなされる場合がありますので注意が必要です。

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【2】不動産所得と事業所得の区分

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◇事業所得または雑所得になる場合
ご自身で建物および設備等を設置し、土地の使用料だけでなく管理・サービスなどを含め、経営している要素が大きい場合には冒頭の事例で息子さんの所得となる場合もあります。

◇ 不動産所得と事業所得の区分
駐車場による収入が、事業所得(または雑所得)であるか、不動産所得であるかを判断する場合は、次のような考え方がされています。

 用途  所得
 月極駐車場のように明らかに不動産の貸付けと認められるもの 不動産所得 
いわゆる時間貸しの有料駐車場、有料自転車置場のような自己の責任において他人の物を保管する場合。人的役務の提供が主である場合等。   事業所得(また雑所得)

                     
    
             
以上により、冒頭の事例の場合であれば不動産所得に該当することになります。

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【3】実質所得者課税の原則<参考>

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◇実質所得者課税の原則(所得税法)

資産または事業から生ずる収益の法律上の帰属者が単なる名義人であってその収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとする「実質所得者課税の原則」を所得税法はとっています。
実務的には、収益の実質的な帰属者が誰かという判定を行う場合、資産から生ずる収益と事業から生ずる収益の2つに区分して考えます。
資産から生ずる収益を享受する者が誰であるかは、まずその収益の基因となる資産の真実の権利者が誰であるかにより判定されるべきですが、それらが明らかでない場合には、その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定します。
また、事業から生ずる収益を享受する者が誰であるかは、その事業を経営していると認められる者が誰であるかにより判定するものとされます。