会社と個人事業はどんな違いがあるのか?

事業を始める場合、会社を作る方法と個人事業で開業する方法の2通りがあります。

会社と個人事業の違い

  会社  個人事業 
設立の仕方  会社を作るまでに時間と費用が掛かる。設立後にも税務署等の役所への届出が多い。  税務署など役所への開業届等を行う 
事業年度  自由に選べる  1月から12月の暦年と決まっている。 
代表者の扱い  代表取締役となって会社から給与を受取れる。退職金も受取れる  自らの給与は経費にならないし、原則として退職金も受取れない 
税金の特典 会社に損失が出た場合は、以後9年間の利益と相殺できる   損失が出た場合は、以後3年間の利益と相殺できる 
社会保険の加入  社長1名の会社でも加入義務がある  5名までは社会保険の加入はしなくてもよい 

①設立の仕方

その存在を認知させるため登記手続きが必要になります。設立後も、税金関係の届出や社会保険や労働保険の加入手続きなどがあります。また、会社の印鑑も登録しなければならず専用の印鑑の作成が必要になります。会社を辞める場合も、抹消の登記が必要となり手続きや時間がかかります。それに比べて個人事業だと、税務署に提出する届出などの手続きだけですみ、開業も廃止も楽です。

②事業年度

 事業年度とは、「事業の会計期間」のことで、原則1年です。会社の場合は、期間を自由に設定することができ、例えば11月1日から10月30日までとしてもかまいません。また、変更手続きを行うと期間を変えることができます。繁忙期などを避けて決算期を変更することも可能です。しかし、個人事業は、1月1日から12月31日までと決まっていて、変更することもできません。

③代表者の扱い

会社の場合は、たとえばAさんが株主かつ代表取締役であったとしても、株主と代表取締役は別の扱いとなるので、Aさんは会社から給料をもらうことができます。一方、個人事業の場合は、仮に事業主に給料を払う形をとっても必要経費とは認められません。

④税金の特典

会社でも個人事業でも、まずは「青色申告」にすることをお勧めします。本格的にビジネスを行いたいと思っている人にとって白色申告のままにしておくのはメリットがあまりありません。開業年度は赤字になることが多いのですが、青色申告の一番大きな特典は、赤字が出ても、翌年以降に利益が出た場合にはその黒字分と相殺できることです。なお、赤字と黒字の相殺期間については会社の場合は9年間、個人事業の場合は3年間という違いがあります。

 個人事業より会社を作るほうが時間とお金がかかります。しかし会社を作った方が、対外的な信用は増しますし、税金の問題でも有利になる取り扱いがいくつもあります。かつては、会社を設立するのに厳しい要件(300万円以上の資本金が必要など)があったのですが、いまは1円から会社を作ることができます。メリットを十分理解して是非会社設立をご検討ください。