中小企業者等の所得拡大税制について

所得拡大促進税制(令和4年度以降)について
令和4年度税制改正により、「所得拡大税制」は名称が変更され、現在は**「所得拡大促進税制」**として運用されています。制度の趣旨は従来と同様、中小企業の賃上げを促進するための税額控除制度であり、青色申告を行う中小企業者にとっては、設備投資要件がなく、比較的利用しやすい制度となっています。
中小企業者とは、資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人を指します。ただし、大規模法人に一定割合以上の株式または出資を保有されている場合は対象外となります(同一の大規模法人に1/2以上、または複数の大規模法人に2/3以上保有されている場合)。
この制度では、給与支給額の増加分に対して一定割合の税額控除が認められるため、賃上げを実施した企業にとっては大きなメリットがあります。

税額控除の内容
控除率は最大で**40%**に達する可能性があり、以下の4パターンが存在します。

※いずれも、税額控除の上限は当期法人税額の20%までです。

適用要件の確認
制度適用には以下の要件を満たす必要があります。
• 国内雇用者(役員や特殊関係者を除く)への給与支給額が前年度より増加していること
• 控除率に応じた給与増加率や教育訓練費の増加、計画認定の取得等の追加要件
特に、給与支給額が1.5%以上増加している場合は、最低限の控除(15%)が認められる可能性が高く、早期の検討が推奨されます。

まとめ
所得拡大促進税制は、中小企業の賃上げ努力を税制面から支援する制度です。控除率の段階的な上乗せにより、より積極的な人材投資が報われる仕組みとなっています。年度末に向けて、給与支給額の増加状況や教育訓練費の実績、経営力向上計画の認定取得の有無などを確認し、制度の適用可否を早めに検討することをおすすめします。
制度の詳細や申告手続きについては、ご相談ください。